WordPressとは?世界シェア40%のCMSが選ばれ続ける理由と限界
CMS徹底解説WordPressとは何か、世界シェア40%のCMSが選ばれ続ける理由と2025年における限界を解説します。WordPress特有のセキュリティ・速度・拡張性の問題点もまとめています。
はじめに
CMSを検討するとき、多くの担当者が最初に思い浮かべるのがWordPressです。世界のWebサイトの40%以上がWordPressで動いているという事実は、このCMSの圧倒的な普及率を示しています。
しかし、普及率の高さは「最善の選択肢であること」を意味しません。WordPressには明確な強みがある一方で、2025年現在においては無視できない構造的な課題も存在します。本記事では、WordPressが選ばれ続ける理由と、その限界を客観的に整理します。
WordPressの歴史と現在
WordPressは2003年にMatt Mullenweg氏らによってブログCMSとして開発されました。当初はブロガー向けのシンプルなツールだったが、プラグインとテーマのエコシステムが発展するにつれ、ブログ以外のあらゆるWebサイトに対応できる汎用CMSへと進化しました。
現在はWordPress.org(セルフホスティング版・無料)とWordPress.com(ホスティングサービス・有料プランあり)の2つの形態があります。企業のWebサイト制作で使われるのは主にWordPress.orgです。
WordPressが選ばれる5つの理由
理由1:対応できる制作会社・エンジニアが圧倒的に多い
日本国内のWeb制作会社の多くがWordPressを標準として採用しており、制作会社の選択肢が最も広いです。フリーランスのエンジニア・デザイナーも含めると、対応できる人材の裾野は他のCMSとは比較にならません。これは「乗り換えたくなったときの制作会社探し」にも有利に働く。
理由2:豊富なプラグインによる機能拡張
WordPress.orgには5万以上のプラグインが登録されており、以下のような機能を追加費用なく導入できます。
SEO設定の管理(Yoast SEO・All in One SEO)
フォーム作成(Contact Form 7・WPForms)
ECカート機能(WooCommerce)
バックアップ(UpdraftPlus)
キャッシュ・高速化(WP Rocket・W3 Total Cache)
セキュリティ(Wordfence・SiteGuard)
「やりたいことがあればプラグインで解決できる」という柔軟性は、WordPressの最大の特徴です。
理由3:豊富なテーマによるデザインの多様性
数万種類のテーマが提供されており、比較的低コストでプロフェッショナルな見た目のサイトを構築できます。有料テーマを使えば、実装済みのページテンプレートを活用でき、制作コストを抑えられます。
理由4:豊富な情報・ドキュメント
WordPressに関する日本語の情報は他のCMSと比較して圧倒的に多いです。「WordPressで○○をする方法」と検索すれば、ほぼあらゆる課題の解決方法が見つかる。運用担当者が自己解決できる範囲が広いことは、運用コストの低減につながる。
理由5:ブロックエディター(Gutenberg)の進化
2018年に導入されたGutenbergエディターは、現在もアップデートが続いており、ページ全体のレイアウトをブロックで直感的に構築できるフルサイト編集機能まで提供するようになっています。非エンジニアが自由度の高いコンテンツを作れる環境が整いつつあります。
WordPressの構造的な課題
課題1:表示速度の問題
WordPressはPHPがリクエストのたびにデータベースを参照してHTMLを動的生成する「サーバーサイドレンダリング」を基本としています。これはページ表示のたびに計算処理が発生することを意味し、最適化なしでは表示速度が遅くなります。
Googleが重視するCore Web Vitalsの指標(特にLCP:最大コンテンツの描画)において、WordPressは適切な最適化なしには目標値を達成しにくい。高速化プラグイン・CDN・画像最適化などの施策を重ねても、Next.js+Vercelで静的生成したサイトとの差は構造的に縮まりにくい。
課題2:セキュリティリスク
シェアが高いがゆえにWordPressは攻撃者の主要ターゲットです。プラグインの脆弱性・コアのアップデート遅れ・推測されやすいログインURL(/wp-admin)などが攻撃の入り口になります。
2024年以降も、WordPressのプラグインを経由した大規模な不正アクセスが報告されており、継続的なセキュリティ管理が欠かせません。
課題3:技術的負債の蓄積
カスタマイズが重なったWordPressサイトは、時間とともに「技術的負債」が蓄積します。使われなくなったプラグイン・更新されないテーマ・複雑になったカスタムコード——これらが重なると、次のリニューアル時に大規模なリファクタリングが必要になります。
5〜7年運用したWordPressサイトの移行コストが予想以上に高くなるケースはこの問題が原因です。
課題4:スケーリングの難しさ
トラフィックが急増したとき(プレスリリース後・大型キャンペーン時等)にWordPressサイトは負荷に弱い傾向があります。適切なキャッシュ設定・CDN構成・サーバースペックの増強などの対応が必要ですが、インフラ知識のない担当者には管理が難しいです。
課題5:AI機能統合の難しさ
WordPressへのAIアシスタント・AIエージェントの統合はプラグインを通じて行われることが多く、深いカスタマイズが難しいです。APIベースのヘッドレスCMSと比較して、Agentic WebsiteやLLMO最適化の観点では技術的な制約が大きいです。
WordPressを選ぶべき場面・選ぶべきでない場面
WordPressが適している場面
予算が限られており、初期費用を抑えたい
社内にWordPressの知識を持つ担当者・エンジニアがいる
制作会社の選択肢を広く持ちたい
標準的な機能要件のサイトで、複雑なカスタマイズが不要
ブログ・オウンドメディアとして記事を大量に更新する運用
WordPressを選ぶべきでない場面
表示速度・Core Web Vitalsのスコアが最重要要件の場合
セキュリティ要件が厳しい(金融・医療・上場企業等)
AIアシスタント・AIエージェントの本格的な統合を予定しています
5年以上の長期運用で技術的負債を最小化したい
複数チャネル(Web・アプリ・デジタルサイネージ)へのコンテンツ配信が必要
WordPressを使い続ける場合の最低限の施策
現時点でWordPressを使用しており、すぐには移行できない場合の最低限の対策を示す。
セキュリティ対策
WordPress本体・プラグイン・テーマを常に最新バージョンに更新します
ログインURLを変更する(/wp-loginを/wp-siteguard等に変更)
2要素認証を導入します
定期的なバックアップを取得する(UpdraftPlus等)
WordFence等のセキュリティプラグインを導入します
パフォーマンス対策
キャッシュプラグイン(WP Rocket等)を導入します
画像をWebP形式に変換し、遅延読み込みを設定します
使用していないプラグインを削除します
CDNを導入する(Cloudflare等)
まとめ
WordPressは普及率・対応会社数・情報量において他のCMSを圧倒しており、多くのケースで現実的な選択肢です。しかし表示速度・セキュリティ・技術的負債という構造的な課題は、運用年数が増えるにつれて顕在化します。
「次のリニューアルで何を選ぶか」という長期的な視点でCMS選定を行うことが、Webサイトの競争力を維持するための重要な投資判断です。次の記事では、WordPressの課題を解決するアーキテクチャとして注目される「ヘッドレスCMS」を詳しく解説します。
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