Web制作のプロジェクト管理とは|工程・スケジュール・成果物の把握方法
Web制作会社の選び方・発注ガイドWeb制作のプロジェクト管理として工程・スケジュール・成果物の把握方法を解説します。発注側の役割・フェーズ別の確認事項・よくあるトラブルと対処法をまとめています。
はじめに
Web制作を制作会社に依頼した後、「今どの工程にいるのか」「何を確認すれば良いのか」「このスケジュールは順調なのか」がわからず、不安を抱える担当者は多いです。
Web制作プロジェクトは、複数の専門工程が連続・並行して進む複雑なプロセスです。クライアント側の担当者(発注者)として適切に関与するためには、各工程の意味・確認すべきポイント・成果物の評価基準を理解しておく必要があります。本記事では、Web制作プロジェクトの全体工程を解説し、発注者として効果的に関与するための方法を解説します。
Web制作プロジェクトの全体工程
標準的なWeb制作プロジェクトは以下の6工程で構成されます。
各工程には「インプット」「成果物」「クライアントの確認事項」が存在します。これを理解した上でプロジェクトに関与することで、発注者として効果的な意思決定ができます。
Phase 1:キックオフ・要件定義(期間:1〜3週間)
工程の目的
プロジェクトの全体方針・進め方・役割分担を合意し、制作の前提となる要件を定義します。
主な成果物
プロジェクト計画書:スケジュール・マイルストーン・体制図・コミュニケーションルール
要件定義書:機能要件・非機能要件・制約条件のまとめ
コンテンツ整理リスト:既存コンテンツの棚卸し・流用可否の整理
発注者の確認ポイント
スケジュールの各マイルストーン(確認期限・公開日等)は現実的か
担当窓口・連絡手段・ミーティング頻度は明確か
コンテンツ提供の期日は守れるか
要件定義書の内容は自社の意図を正確に反映しているか
Phase 2:情報設計(IA・ワイヤーフレーム)(期間:2〜4週間)
工程の目的
サイトの構造・ページ構成・各ページのレイアウトを設計します。デザイン・実装の前に「何をどこに置くか」を決める最重要の工程です。
主な成果物
サイトマップ:全ページの階層構造を示した図
ワイヤーフレーム:各ページのレイアウト・コンテンツ配置を示した設計図(白黒・グレースケール)
発注者の確認ポイント
サイトマップのチェック
すべての必要なページが含まれているか
ナビゲーション構造は訪問者にとって直感的か
不要なページ・重複するページはないか
ワイヤーフレームのチェック
各ページの情報の優先順位は適切か(最重要の情報がファーストビューに入っているか)
CTA(問い合わせボタン・資料DLボタン等)の配置は適切か
ユーザーが目的のページに3クリック以内でたどり着けるか
重要:ワイヤーフレームの段階でのフィードバックは、デザイン確定後より変更コストが格段に低いです。この段階での徹底的な確認が後工程の手戻りを防ぎます。
Phase 3:デザイン(期間:3〜6週間)
工程の目的
ワイヤーフレームを基に、ブランドガイドラインに沿った視覚的なデザインを制作します。
主な成果物
デザインカンプ:実際のサイトと同等の見た目を持つビジュアルデザイン(Figmaで提供されることが多い)
スタイルガイド:使用するカラー・タイポグラフィ・ボタン・フォームのデザインルール
発注者の確認ポイント
デザインレビューは感覚的になりがちですが、以下の観点で論理的に評価することが重要です。
ブランドとの整合性
既存のCI/VIとの一貫性があるか
ターゲットユーザーに適切な印象を与えているか
可読性・情報の明確さ
テキストが読みやすいか(フォントサイズ・行間・コントラスト)
重要な情報が視覚的に強調されているか
CTAボタンは目立つか
スマートフォン対応
スマートフォン表示でのデザインも確認したか
タップしやすいボタンサイズになっているか
フィードバックの伝え方
「なんとなく気に入らない」ではなく「○○の理由でターゲットに刺さらないと感じる」という形で具体的に伝える
修正を依頼する箇所をFigmaのコメント機能等で明確に指定します
Phase 4:実装(コーディング・CMS構築)(期間:4〜8週間)
工程の目的
デザインカンプをHTMLCSSJavaScript(またはNext.js等のフレームワーク)で実装し、CMSと連携させる。
主な成果物
ステージング環境:本番公開前の確認用の開発環境URL
CMS管理画面:コンテンツ更新のための管理インターフェース
発注者の確認ポイント
ステージング環境での確認
デザインカンプと実装が一致しているか
スマートフォン・タブレット・各種ブラウザで正しく表示されているか
アニメーション・インタラクションが仕様通りに動作しているか
CMS管理画面の確認
担当者が直感的にコンテンツ更新できるか
必要なコンテンツ要素(テキスト・画像・カテゴリ等)が管理できるか
権限設定(編集者・管理者等)は要件に合っているか
この工程でのフィードバックは、デザインと実装の「ずれ」に集中します。機能の大幅な追加・変更は追加費用が発生するため、要件定義の段階での合意を再確認することが重要です。
Phase 5:テスト・品質保証(期間:1〜3週間)
工程の目的
全機能・全ページの動作確認を行い、本番公開に向けての品質を担保します。
主なテスト項目
機能テスト:フォーム送信・リンク・ナビゲーション・検索機能等の動作確認
表示テスト:複数ブラウザ(Chrome・Safari・Firefox・Edge)・デバイス(PC・スマホ・タブレット)での表示確認
パフォーマンステスト:PageSpeed Insights・Lighthouseでのスコア確認
SEOテスト:メタタグ・構造化データ・サイトマップの設定確認
セキュリティテスト:SSL・フォームのバリデーション・不正入力対応
発注者の確認ポイント
テスト結果のレポートを受け取り、指摘事項の対応状況を確認します
自社でも主要な機能・ページの動作確認を行います
コンテンツの最終確認(誤字脱字・情報の正確性)を実施します
Phase 6:公開・移行(期間:1〜3日)
工程の目的
本番環境へのファイル転送・DNS切り替えを行い、一般公開します。
主な作業内容
本番サーバーへのデプロイ
ドメイン・DNSの切り替え
リダイレクト設定(旧URLから新URLへの301リダイレクト)
Google Analytics・Search Consoleの設定
公開後の動作確認
発注者の確認ポイント
公開後24〜48時間は各ページの表示・機能を確認します
GA4のトラッキングが正常に機能しているかを確認します
旧サイトの主要URLから新URLへのリダイレクトが正しく設定されているか
発注者として効果的に関与するための5原則
期日を守る
デザイン確認・コンテンツ提供・フィードバック——発注者側の対応遅延がプロジェクト全体の遅延を引き起こす。期日は制作会社と同様に厳守する意識が重要です。
フィードバックは具体的に
「なんかイメージと違う」ではなく「〇〇のページの〇〇の部分が、△△に見えるため、××の印象を与えると思う。□□のように変更してほしい」という形で具体的に伝える。
確認者を一本化する
複数の社内担当者がそれぞれ別のフィードバックを制作会社に送ると、矛盾が生じる。社内での取りまとめを行った上で、窓口を一本化してフィードバックします。
追加要件は慎重に
制作途中での追加・変更要件は、スケジュール延長・追加費用の原因になります。新たな要件が生じた場合は、必ず「現プロジェクトで対応するか」「次フェーズで対応するか」を制作会社と合意してから進める。
プロを信頼しつつ主体性を持つ
制作会社のプロの判断を尊重しながら、ビジネス目標・ユーザー視点の観点での意見は主体的に発信します。「お任せします」では良いものができず、「全部こちらで決めます」では制作会社の専門性が活かせません。
まとめ
Web制作プロジェクトは6つの工程で構成され、各工程に「発注者として確認すべきポイント」が存在します。単に制作会社に任せるのではなく、各マイルストーンで適切な関与を行うことが、プロジェクトの成功に不可欠です。
次の記事では、Web制作会社との契約内容で確認すべき10のポイントを解説します。
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