Web制作会社に依頼する前に決めておくべき8つのこと
Web制作会社の選び方・発注ガイドWeb制作会社に依頼する前に決めておくべき8つのことを解説します。目的・ターゲット・KPI・予算・スケジュール・コンテンツ・ドメイン・運用体制の事前整理方法をまとめています。
はじめに
制作会社への発注後に最も多いトラブルの原因は「発注前の社内合意不足」です。要件が固まっていない状態で発注し、制作が進んでから「やはりページ構成を変えたい」「ターゲットが変わった」「予算が削られた」となると、手戻りコストと制作会社との関係悪化を招く。
Web制作プロジェクトを円滑に進めるためには、発注前に社内で決めておくべき事項があります。本記事では、その8つを順を追って解説します。
1. プロジェクトの目的と成功指標(KPI)
最も重要でありながら、最も曖昧になりやすいのが「なぜサイトを作るのか・リニューアルするのか」という目的の定義です。
「古くなったから」「競合がきれいになったから」という理由だけでは、制作会社に適切な提案を求めることができません。プロジェクトの目的は、ビジネス上の課題と連動した形で定義する必要があります。
目的の定義例
問い合わせ数を月20件から月40件に増やす(BtoB営業強化)
採用応募数を現状の3倍にする(採用ブランディング)
検索からの月次訪問者数を5,000から15,000に増やす(SEO強化)
既存顧客のサポートコストを30%削減する(FAQ・サポートコンテンツ強化)
目的が決まれば、自ずと成功の測り方(KPI)も決まる。KPIを事前に定義することで、制作会社へのフィードバックの軸も明確になり、「なんとなく気に入らない」という主観的なフィードバックを防ぐことができます。
2. ターゲットユーザーの定義
誰のためのサイトかが明確でなければ、デザイン・コンテンツ・導線のすべてが曖昧になります。ターゲットユーザーは、できる限り具体的なペルソナとして定義します。
ペルソナ定義の例
> 製造業(従業員300名)の情報システム部長、45歳男性。生産管理システムの更新を検討中で、複数ベンダーを比較しています。ITリテラシーは高いが、AIや最新フロントエンド技術への詳しい知識はありません。決裁者は役員であり、自身は推薦者の立場。
複数のペルソナが存在するBtoBサイトの場合は、ターゲットを優先順位付きでリストアップします。「誰でもターゲット」は「誰にも刺さらない」を意味します。
3. 制作範囲(スコープ)の確定
「サイトをリニューアルする」と言っても、全ページを作り直すのか、一部ページのみ対応するのかによって、費用・工数・期間は大きく異なります。
スコープ定義のチェックリスト
制作対象のページはどこか(サイトマップで全ページをリストアップ)
既存コンテンツ(文章・画像・動画)はどこまで流用するか
新規コンテンツの制作は誰が担当するか(自社 or 制作会社)
ドメイン・サーバーの移行は必要か
多言語対応は必要か
スマートフォン対応の仕様は(レスポンシブ・別URL等)
スコープが曖昧なまま発注すると、「それは含まれていると思っていた」「追加費用が発生する」というトラブルの原因になります。
4. 予算の上限と内訳の考え方
予算は「いくらかかるかわからないから先に決められない」と考える担当者も多いが、予算の上限を決めておくことは発注側にとっても重要です。
予算上限を明示することで
制作会社が要件の優先度を適切に判断できます
過剰な機能提案を防ぐことができます
複数社の提案を公平な条件で比較できます
予算の内訳として考えるべき項目
初期制作費(デザイン・実装・CMS構築等)
コンテンツ制作費(文章・写真・動画)
年間保守費(月次サポート・セキュリティ管理)
ホスティング・ドメイン費
将来の機能追加のための予備費
初期費用だけでなく、公開後3年間の総コストで考えることが合理的です。
5. 社内の意思決定フローと承認者の確認
Web制作プロジェクトは、必ず複数の社内ステークホルダーが関与します。プロジェクト開始前に、誰がどの段階で承認権限を持つかを明確にしておく。
典型的な社内ステークホルダー構成
プロジェクトオーナー:最終的な意思決定権を持つ(社長・部門長等)
担当者(PM):制作会社との日常的なコミュニケーションを担います
関係部門の確認者:コンテンツを提供する各部門(営業・人事・法務等)
最終確認者:デザイン・コンテンツの最終承認を行います
「誰に見せれば最終的にOKがもらえるのか」が不明確なまま進めると、制作の終盤に突然「役員から大幅な変更要望が来た」という事態が生じる。発注前に承認フローを制作会社に共有しておくことで、レビュースケジュールを適切に設計できます。
6. コンテンツの準備と提供スケジュール
Web制作の遅延原因として最も多いのが「クライアント側からのコンテンツ提供の遅れ」です。制作会社がデザインや実装の準備を整えても、文章・写真・動画が揃わなければプロジェクトが止まる。
コンテンツ準備の確認項目
会社概要・代表者プロフィール等の基本情報は整っているか
各サービス・製品の説明文を誰が書くか(社内担当者・ライター外注等)
写真素材はあるか(社内写真・撮影依頼・素材購入)
動画コンテンツは必要か、あるか
社内での確認・承認に何日かかるか
コンテンツ提供のスケジュールを制作スケジュールに組み込んでもらうよう、発注前に制作会社と合意しておく。
7. 公開後の運用体制の設計
「誰がサイトを更新・管理するか」を発注前に決めておくことで、CMSの選定や管理画面の設計に反映できます。
運用体制の確認項目
コンテンツ更新の担当者は誰か(IT部門 or 広報 or 各事業部)
更新頻度はどのくらいか(週次・月次等)
担当者のITリテラシーはどの程度か
制作会社に継続的な保守を依頼するか、内製化するか
更新担当者のITリテラシーによって、適切なCMSの選択が変わります。「ノーコードで直感的に更新できることが必須」なのか「エンジニアが管理するので技術的な制約は許容する」なのかによって、CMSの選定方針が変わります。
8. 公開後の改善・PDCAの方針
Webサイトは公開してからが本番です。公開直後から、アクセス解析を見ながら改善を繰り返すことでサイトの成果は大きく変わります。
発注前に決めておくべき改善方針
GA4(Google Analytics)の設定・運用は誰が担当するか
月次・四半期でのレポーティングを制作会社に依頼するか
A/Bテスト・ヒートマップ等のCRO(コンバージョン最適化)ツールを導入するか
SEO記事の継続的な制作を外注するか、内製するか
改善サイクルを組み込んだ運用設計を発注前に検討しておくことで、制作会社との中長期的なパートナーシップの形を明確にできます。
まとめ
Web制作会社への発注前に社内で決めておくべき8つの事項を整理します。
プロジェクトの目的と成功指標(KPI)
ターゲットユーザーの定義(ペルソナ)
制作範囲(スコープ)の確定
予算の上限と内訳の考え方
社内の意思決定フローと承認者の確認
コンテンツの準備と提供スケジュール
公開後の運用体制の設計
公開後の改善・PDCAの方針
この8点を発注前に整理しておくことで、制作会社との認識齟齬を防ぎ、プロジェクトをスムーズに進めるための土台が整う。次の記事では、制作が始まってからのプロジェクト管理の基本を解説します。
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