サイトリニューアルの要件定義書の書き方|テンプレート付き
サイトリニューアルの基本サイトリニューアルの要件定義書の書き方をテンプレート付きで解説します。目的・ターゲット・機能要件・非機能要件の整理方法と制作会社への伝え方をまとめています。
はじめに
「制作会社に発注したら思っていたものと違うものができた」——このトラブルの多くは、要件定義が不十分なまま発注が進んだことに起因します。要件定義書は、発注者と制作会社が「何を作るか」について共通認識を持つための最重要ドキュメントです。
本記事では、サイトリニューアルの要件定義書の構成と各項目の書き方、よくある失敗とその対策を実践的に解説します。
要件定義書とは何か
要件定義書とは、リニューアルプロジェクトで「何を実現するか」を文書化したものです。RFP(提案依頼書)が「制作会社への依頼内容」であるのに対し、要件定義書は「発注者と制作会社が合意した仕様の詳細」として機能します。
要件定義書が果たす役割は以下の通りです。
発注者・制作会社の認識齟齬を防ぐ
制作中の「言った・言わない」のトラブルを防ぐ証跡になります
追加要件が発生した際の基準ラインになります
テスト・品質保証の基準として活用できます
要件定義書の構成
1. プロジェクト概要
記載内容
プロジェクト名
目的(なぜリニューアルするのか)
目標KPI(定量的な成功指標)
プロジェクト期間・公開目標日
予算の上限
記載例
> プロジェクト名:株式会社○○ コーポレートサイト全面リニューアル
> 目的:現行サイトのスマートフォン対応不足・SEOスコアの低下を改善し、問い合わせ数を月20件から40件に増加させる
> 目標KPI:問い合わせ数月40件(公開6ヶ月後)、PageSpeed Insightsスコア80以上
> 公開目標日:20○○年○月○日
2. 現状サイトの情報
記載内容
現行サイトのURL
制作時期・使用CMS
現在のアクセス数・主要指標(GA4データ)
現状の課題(具体的に)
3. ターゲットユーザー
記載内容
メインターゲットの属性(業種・職種・年代・役職等)
サブターゲットの属性
各ターゲットが抱える課題・ニーズ
各ターゲットのサイト利用目的
記載例
> メインターゲット:製造業(従業員100〜500名)の情報システム部長・IT担当者(35〜50歳)
> サイト利用目的:業務効率化ツールの比較検討・導入事例の確認
> サブターゲット:同社の経営層(最終意思決定者)
4. サイトマップ(ページ構成)
リニューアル後の全ページをリスト化します。新規ページ・継続ページ・廃止ページを区別して記載します。
5. 機能要件
必要な機能を「必須」「推奨」「将来対応」の3段階で優先度を付けて記載します。
機能要件の記載例
機能 | 優先度 | 詳細仕様 |
お問い合わせフォーム | 必須 | 項目:会社名・氏名・メール・電話・お問い合わせ内容。自動返信メール・担当者への通知メール必須 |
ニュース管理(CMS) | 必須 | 非エンジニアが更新可能。カテゴリ・タグ機能。公開予約機能 |
導入事例管理(CMS) | 必須 | 業種・課題・規模でフィルタリング可能 |
HubSpot連携 | 推奨 | フォーム送信時にHubSpotへリード情報を送信 |
AIチャットボット | 将来対応 | 第2フェーズで実装予定 |
6. デザイン要件
記載内容
ブランドガイドラインの有無(使用するロゴ・カラー・フォントの制約)
デザインの方向性・トーン(モダン・クリーン・プロフェッショナル等)
参考にしたいサイト(2〜3件とその理由)
避けたいデザイン・表現
記載例
> ブランドカラー:メインカラー #2C3E50、アクセントカラー #3498DB
> デザイン方向性:シンプル・プロフェッショナル。過度なアニメーションは避ける
> 参考サイト:example.com(清潔感・情報の整理の仕方が参考になる)
7. 技術要件
記載内容
CMS・フレームワークの希望または制約
ホスティング環境の希望
連携する外部サービス(MAツール・CRM・分析ツール等)
セキュリティ要件(SSL・WAF・バックアップ頻度等)
パフォーマンス要件(PageSpeed Insightsスコアの目標値等)
記載例
> CMS:ヘッドレスCMSが望ましい。WordPressの場合は高速化施策を必須で実施すること
> 連携ツール:HubSpot(フォーム連携)・GA4(アクセス解析)・Google Search Console
> パフォーマンス:PageSpeed Insightsのモバイルスコア75以上を要件とします
8. コンテンツ要件
記載内容
各ページのコンテンツの制作担当(自社・制作会社・外注ライター等)
写真・動画の手配方針(既存素材の活用・新規撮影・素材購入)
コンテンツの提供スケジュール
多言語対応の有無
9. スケジュール
各工程のマイルストーンと社内確認期限を明記します。
スケジュール記載例
マイルストーン | 目標日 | 担当 |
キックオフミーティング | ○月○日 | 双方 |
サイトマップ確定 | ○月○日 | 制作会社→クライアント確認 |
ワイヤーフレーム確認 | ○月○日 | 制作会社→クライアント確認 |
デザイン初稿提出 | ○月○日 | 制作会社 |
デザイン確定 | ○月○日 | クライアント→制作会社 |
コンテンツ提供完了 | ○月○日 | クライアント |
ステージング環境公開 | ○月○日 | 制作会社 |
最終確認完了 | ○月○日 | クライアント |
本番公開 | ○月○日 | 制作会社 |
10. 納品物のリスト
リニューアル完了時に受け取る成果物を明記します。
納品物リストの例
完成したWebサイト(本番環境)
ソースコード一式(GitHubリポジトリ)
デザインデータ(Figmaファイル)
サイトマップ・ワイヤーフレーム(PDF)
運用マニュアル(CMS操作方法)
テスト結果レポート
よくある失敗と対策
失敗1:「一式」でまとめた機能要件
「お問い合わせ機能一式」という記述では、自動返信・通知・MAツール連携が含まれるのか不明です。機能は可能な限り細分化して記述します。
失敗2:デザインの方向性が主観的すぎる
「かっこいいデザインにしてほしい」「センスの良いデザイン」という要件は解釈が難しいです。参考サイトとその理由(「○○のような清潔感が欲しい」)を合わせて記述します。
失敗3:スケジュールに社内確認時間が含まれていない
制作会社の作業期間だけを積み上げたスケジュールは、社内確認・承認の時間が考慮されていません。各マイルストーンに「クライアント確認期間(○営業日)」を明示します。
失敗4:「将来対応」の機能が設計に影響する場合に事前確認しません
「将来AIチャットボットを追加したい」という要件は、現行の設計・データ構造に影響する可能性があります。将来追加したい機能は要件定義の段階で制作会社に伝え、将来の拡張を考慮した設計になっているかを確認します。
まとめ
要件定義書は、プロジェクトの成功を左右する最重要ドキュメントです。10の構成要素を丁寧に埋めることで、制作会社との認識齟齬を防ぎ、品質の高いリニューアルを実現できます。
次の記事では、Web制作会社への提案依頼書(RFP)の書き方を解説します。要件定義書とRFPの違いと使い分けについても整理します。
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