RFP(提案依頼書)の書き方|Web制作会社への依頼を成功させる
サイトリニューアルの基本Web制作会社へのリニューアル依頼を成功させるRFP(提案依頼書)の書き方を解説します。記載すべき項目・提案書の評価基準・失敗しない依頼のポイントをまとめています。
はじめに
Web制作会社に「良い提案」を引き出すためには、依頼の質が決定的に重要です。曖昧な依頼には曖昧な提案が返り、詳細な依頼には詳細な提案が返る——これはWeb制作の世界の普遍的な法則です。
RFP(Request for Proposal:提案依頼書)は、制作会社に「何を・どんな目的で・どんな条件で作ってほしいか」を伝える公式の依頼文書です。RFPの質を高めることで、複数社からの提案の比較・評価が公平かつ正確になり、最適なパートナー選定につながる。
RFPと要件定義書の違い
要件定義書とRFPは混同されやすいが、役割が異なります。
項目 | RFP | 要件定義書 |
作成タイミング | 制作会社の選定前 | 制作会社との契約後 |
目的 | 複数社から提案・見積もりを引き出す | 発注者・制作会社間の仕様の合意 |
詳細度 | 要件の概要・方向性 | 詳細な仕様・判断基準 |
受取側 | 複数の制作会社候補 | 選定された1社 |
RFPは「提案を依頼するための文書」であり、要件定義書はその後の「合意を文書化するもの」です。
RFPの基本構成と各項目の書き方
1. 会社・事業の概要
制作会社がプロジェクトを理解するための前提情報を提供します。
記載すべき内容
会社名・業種・主力製品・サービス
事業規模(従業員数・年商)
主要なターゲット顧客・市場
競合との差別化ポイント
制作会社は自社のビジネスを深く理解していません。「業界内では知られているが、一般的には説明が必要な情報」を省略せず記載することが、的確な提案を引き出す鍵です。
2. リニューアルの目的と背景
「なぜ今リニューアルするのか」を明確に説明します。
記載例
> 現行サイトは2018年に制作したWordPressサイトです。制作から6年が経過し、スマートフォンの表示品質の低下・PageSpeed InsightsのスコアがモバイルでLCP 5.2秒という状態になっています。競合A社がリニューアル後に検索流入を1年で3倍にしたことも背景の一つです。本リニューアルの主目的は、SEOスコアの改善による検索流入の増加と、問い合わせフォームの改善によるCVR向上です。
3. 目標KPIと成功指標
「リニューアル後に何が変われば成功か」を定量的に記述します。
記載例
PageSpeed InsightsのモバイルスコアLCP 2.0秒以下(現状5.2秒)
月次オーガニック流入を現状の2倍(6ヶ月後)
問い合わせ数を月20件から40件に増加(公開後3ヶ月で)
KPIを明示することで、制作会社が提案の中で「どうすればこのKPIを達成できるか」を具体的に盛り込むようになります。
4. 制作範囲(スコープ)
今回のリニューアルで対応する範囲を明確にします。
記載すべき内容
制作対象のページ一覧(サイトマップ)
既存コンテンツの流用方針
コンテンツ制作の担当分担(自社・制作会社)
対象外の範囲(次フェーズで対応するもの等)
「どこまでやってほしいのか」が不明確なRFPには、見積もりの精度が下がり、会社によって価格差が大きくなります。
5. 機能要件の概要
必須機能と希望機能を分類して記述します。詳細な仕様はRFPの段階では不要ですが、制作会社が工数を見積もれる程度の情報を提供します。
記載例
必須機能:
お問い合わせフォーム(HubSpot連携必須)
ニュース管理機能(CMS)
導入事例ページのCMS管理
Google Analytics 4・Search Consoleの設定
希望機能:
AIチャットボットの統合(別途見積もりで提示してほしい)
多言語対応(英語・第2フェーズで検討)
6. デザイン要件
記載すべき内容
ブランドガイドライン・CIの有無と制約
デザインの方向性(参考サイト2〜3件と選定理由)
避けたい表現・テイスト
使用するロゴ・フォント・カラーの制約
参考サイトは必ず「なぜ参考にしたいのか」という理由を添える。「このデザインが好き」ではなく「この情報の整理の仕方を参考にしたい」「このトーンの真剣さが自社ブランドに合う」という具体的な理由があると、制作会社の解釈精度が上がる。
7. 技術要件
制作会社の技術選定を拘束するのではなく、自社の制約と希望を伝える。
記載例
> 現行サイトはWordPressで運用中です。今回のリニューアルではCMSの変更も視野に入れていますが、制作会社の推奨するCMSを採用する柔軟性があります。ただし、非エンジニアの広報担当者が記事更新を行うため、CMS管理画面の使いやすさを重視します。また、PageSpeed InsightsのモバイルスコアLCP 2.0秒以下を必須要件とします。
8. 予算の上限
多くの担当者が「予算を明かすと足元を見られる」と懸念しますが、予算の上限を明示することは発注側にとっても有益です。
予算が不明な場合、制作会社は「どのくらいのクオリティ・規模を想定して提案するか」の判断ができず、的外れな提案が返ってくることが多いです。
記載例
> 制作費の予算上限は○○○万円(税別)を想定しています。公開後の年間保守費用は別途○○万円程度を検討しています。予算内で最大の成果が得られる提案を期待します。
9. スケジュール
記載すべき内容
提案書の提出期限
選定・発注決定の予定日
プロジェクト開始予定日
公開目標日(固定されている場合はその理由)
公開日が固定されている場合(決算期・展示会・新事業のローンチ等)は、その背景を説明することで制作会社がスケジュールのリスクを正確に評価できます。
10. 選定基準と評価方法
制作会社に「どのような観点で選定するか」を事前に伝えることで、提案の質が向上します。
選定基準の記載例
評価軸 | 重み |
同種プロジェクトの実績 | 25% |
技術力・使用技術の妥当性 | 25% |
提案の課題理解度と解決策の具体性 | 30% |
費用対効果 | 20% |
11. 提出形式と質問対応
記載すべき内容
提案書の提出形式(PDF・PowerPoint等)
提出方法(メール・ファイル共有サービス等)
質問の受付方法・回答方法(一括回答か個別回答か)
質問の受付期限
良いRFPと悪いRFPの差
良いRFP
ビジネス目的・KPIが明確
現状の課題がデータで裏付けられています
スコープが具体的に記載されています
予算・スケジュールが明示されています
選定基準が公開されています
悪いRFP
「きれいなサイトにしてほしい」という定性的な要件のみ
現状の情報(URL・アクセス数等)が共有されていない
「できればたくさんのページを作ってほしい」という曖昧な範囲
「できる限り安くしてほしい」という予算の非開示
まとめ
RFPは「良い提案を引き出すための投資」です。RFPの作成に時間をかけることで、制作会社との認識齟齬を減らし、的確な提案・見積もりを受け取り、公正な選定を行うことができます。
11の構成要素を整理したRFPを作成し、複数社への同時依頼を行うことで、最適なリニューアルパートナーを見つける確率が大幅に向上します。次の記事では、制作会社選定の判断基準を解説します。
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