検索の4人に1人がサイトに来ない時代、企業サイトはどうあるべきか

「検索順位は落ちていないのに、サイトへの流入だけが減っている」
ここ1年ほど、こうした相談が増えました。担当者に落ち度があるわけではありません。検索という行為そのものの構造が変わりつつあるためです。
この記事では、2026年時点で実際に何が起きているのかをデータで整理し、企業サイトとして何をすべきかをまとめます。
検索した人の4人に1人が、サイトに来ずに終わっている
博報堂DYグループが2026年に発表した「AI検索白書2026」の調査では、生成AIの回答のみで解決した層が13.7%、その後に追加で検索AIサービスに質問した層が10.2%で、合わせて23.9%がゼロクリックサーチに該当するという結果が出ています。ほぼ4人に1人の割合です。(※1)
米国ではさらに顕著です。調査機関SparkToroとウェブ分析企業Similarwebの共同分析によれば、2026年1月から4月の期間において、米国でのGoogle検索の68.01%が外部サイトへのクリックを伴わずに終了しました。(※2)
推移で見ると、加速していることが分かります。
年 | 米国のゼロクリック率 |
2016年 | 45% |
2019年 | 49% |
2024年 | 60.45% |
2026年1〜4月 | 68.01% |
直近2年間で約7.5ポイント上昇し、過去10年で最も急激な加速を記録しています。(※2)
背景にあるのがAI Overviewsの普及です。2026年3月時点で表示率が48%に達したとされ、検索結果ページ上でAIが直接回答を返すため、サイトを開く必要がなくなりました。(※3)
影響の大きさも数字で示されています。AI Overviewsが表示された検索では、外部サイトへのクリックスルー率が約60%低下。1000回の検索から外部サイトに到達するトラフィックは、276回まで減少したと報告されています。(※2)
AI検索の利用そのものも、わずか半年で約3倍に伸びています。(※1)
ただし「検索が減っている」わけではない
ここは誤解されやすいところなので、正確に書きます。
ヴァリューズが実施した調査では、Google検索の月次UU(訪問者数)は2021年を100%とすると2025年は109.5%と、むしろ増加傾向にあります。AIが普及するなかでも、検索エンジン自体は使われ続けています。(※4)
つまり起きているのは「検索されなくなった」ことではなく、「検索されてもサイトに来ない」という変化です。この違いは対策を考えるうえで重要です。検索を諦める話ではありません。
また「AI検索白書2026」では、生成AIの回答では不十分で従来型検索をした人が32.8%と最も多いという結果も出ています。AI対策と従来型SEOは、どちらか一方ではなく両方必要です。(※1)
影響を受けやすいクエリ、受けにくいクエリ
すべてのページが等しく減るわけではありません。
影響を受けやすいのは、調べれば答えが確定する情報収集系のクエリです。 「〇〇とは?」「〇〇 やり方」といった、用語の意味や手順を調べるもの。こうした内容はAIが回答しきってしまうため、サイトを開く理由がなくなります。
影響を受けにくいのは、購買や問い合わせの意図が強いクエリです。 実際にサービスを検討している人は、AIの回答だけでは判断できず、企業サイトを訪れて確認します。この領域のSEOは引き続き重要だと指摘されています。(※3)
自社サイトのどのページがどちらに当たるかを把握するだけでも、対策の優先順位が見えてきます。
流入がなくても「引用される」価値がある
もう一つ、見落とされがちな論点があります。
AI Overviewsに引用された場合、クリックされなくてもブランド名は表示されます。ここで生まれるのが、認知と指名検索です。AI検索で自社を知ったユーザーが、後日ブランド名で検索するという流れが実際に起きているとされます。
「GoogleのAIが引用している情報源」として扱われること自体が、信頼のシグナルにもなります。(※3)
つまり評価軸を「流入数」だけで見ていると、実際に起きている変化を見誤ります。
今日からできる3つのこと
1. 計測を分ける
まず、AI経由の流入がどれくらいあるのかを見られる状態にします。
GA4のデフォルトのチャネルグループには「AI Assistant」という項目があり、「レポート」→「集客」→「トラフィック獲得」を開けば、合計値はそのまま確認できます。
ただし、これだけではどのサービス経由かまでは分かりません。内訳を見る手順は次の通りです。
GA4の「レポート」→「集客」→「トラフィック獲得」を開く
表の左上のディメンション名をクリックし、「セッションの参照元」に切り替える

表の上にある検索窓に、chatgpt perplexity copilot gemini claude などを1つずつ入力して絞り込む

毎回この操作をするのが手間であれば、探索レポートで「セッションの参照元」を軸にしたレポートを1つ作って保存しておくと、次回から開くだけで確認できます。
そして重要なのが、現時点でゼロでも記録しておくことです。「1年前はゼロだった」という記録があって初めて、変化を語れるようになります。今日の数字を残しておくことが、来年の判断材料になります。
2. 情報を構造化する
AIが情報を抽出しやすい形になっているかを確認します。チェックする点は3つです。
見出しの階層が正しいか:H1→H2→H3の順に並んでいるか。見た目だけ大きい文字にして、実際には見出しタグになっていないケースは意外と多いです
構造化データが入っているか:企業情報、FAQ、サービス内容などを、機械が読み取れる形式(JSON-LDなど)で記述しておくと、AIが情報を拾いやすくなります。Googleの「リッチリザルトテスト」で現状を確認できます
重要な情報が文章の中に埋もれていないか:料金、対応エリア、営業時間などは、文章の中に混ぜるのではなく、項目として独立させておく方が抽出されやすくなります
3. 検索以外の導線を持つ
検索流入への依存度が高いほど、この変化の影響を強く受けます。まず、GA4のチャネル別レポートで流入の何割を検索が占めているかを確認してみてください。
もし7〜8割を超えているようであれば、SNS、メール、既存顧客からの紹介など、別の入口を育てておくことがリスク分散になります。すぐに比率を変えるのは難しいですが、依存度を把握しておくだけでも判断が変わります。
サイトの役割が変わりつつある
これまで企業サイトは「検索から人を集める場所」として設計されてきました。しかし、集客の一部をAIが担うようになると、サイトに求められる役割も変わります。
ひとつは、AIに読まれる側になることです。さきほど構造化の話をしましたが、ページ単位でデータを足していくのと、サイト全体が最初から構造化されているのとでは、精度も手間も変わります。ここはCMSの設計段階で決まる部分です。
もうひとつは、来た人にその場で答えることです。情報を渡すだけの場所から、疑問にその場で答える場所へ。私たちがAIエージェントを組み込んだサイト構築に取り組んでいるのも、この変化を前提としているためです。このサイトにも実装しているので、よければ試してみてください。
とはいえ、いきなり大掛かりな仕組みを入れる必要はありません。まずは自社サイトの流入がどう変化しているかを把握するところからで構いません。現状の計測状況を伺えれば、どこから手をつけるべきか整理できます。
出典
※1 博報堂DYグループ「AI検索白書2026」 https://oneder.hakuhodody-one.co.jp/blog/ai-search-hakusho-2026-zero-click
※2 ビジネス+IT「【Webマーケター震撼】グーグル検索の68%が『ゼロクリック』で終了、AIで検索が変化」(調査:SparkToro / Similarweb) https://www.sbbit.jp/article/cont1/185839
※3 AIMention「AI Overviewのゼロクリック問題とは?」 https://www.aimention.jp/column/aeo-llmo/ai-overview-zero-click
※4 Web担当者Forum「AI Overviewsで『ゼロクリック化』進む? Google検索流入は41%まで減少【ヴァリューズ調べ】」 https://webtan.impress.co.jp/n/2026/07/02/52880
※本記事の数値は執筆時点(2026年8月)のものです。AI検索関連の状況は変化が速いため、最新の情報は各出典元をご確認ください。