Web制作会社への発注で後悔しないRFPの書き方
Web制作会社の選び方・発注ガイドWeb制作会社への発注で後悔しないRFPの書き方を解説します。記載必須の9項目・提案書の評価基準・NG事例と改善例・RFP配布から選定までの流れをまとめています。
はじめに
Web制作の失敗事例の多くは、「発注前の情報共有が不十分だった」ことに起因します。「言った・言わない」のトラブル、仕様の解釈の食い違い、想定外の追加費用——これらのほとんどは、RFP(Request for Proposal:提案依頼書)を適切に作成することで防ぐことができます。
RFPとは、制作会社に提案・見積もりを依頼する際に渡す仕様書です。自社のプロジェクト概要・要件・条件を明文化したドキュメントであり、複数社に同条件で提案を依頼する際の前提となります。本記事では、Web制作RFPの構成と各項目の書き方を実践的に解説します。
RFPを作るメリット
RFPを作成することには、発注側・受注側の双方にメリットがあります。
発注側のメリット
自社の要件を整理することで、プロジェクトの全体像が明確になります
複数社への公平な比較・評価が可能になります
「言った・言わない」のトラブルを防ぐ証跡になります
提案の質が上がり、発注先選定の精度が高まる
受注側のメリット
要件が明確なため、精度の高い見積もりが出しやすい
プロジェクト開始後の手戻りリスクが下がる
提案に集中できます
RFPの基本構成
1. プロジェクト概要
まず、プロジェクトの全体像を端的に説明します。制作会社が「何のためのサイトか」を理解できることが目的です。
記載すべき内容
会社名・事業概要(業種・主力製品・サービス・ターゲット顧客)
プロジェクトの目的(なぜこのタイミングでサイトを作るのか・リニューアルするのか)
達成したい成果(問い合わせ数○件/月、採用応募数○件/月など定量目標があれば記載)
プロジェクト名称(内部呼称)
記載例
> 当社は産業機械の製造・販売を手がけるBtoB企業(従業員200名)です。現行コーポレートサイトは5年前に制作しており、スマートフォン対応が不十分なため、モバイルからの問い合わせ獲得が課題となっています。本プロジェクトでは、問い合わせ数を現状の月20件から月40件に倍増させることを目標に、コーポレートサイトの全面リニューアルを行います。
2. 現状と課題
現在のサイトの問題点と、なぜ解決が必要かを整理します。
記載すべき内容
現行サイトのURL・制作時期・使用CMS
現状のアクセス数・主要指標(GA4データがあれば)
感じている課題(デザイン・機能・パフォーマンス・管理性等)
競合他社のサイトで参考になる点
3. 制作範囲・ページ構成
どこまでを今回のプロジェクトで対応するかを明確にします。
記載すべき内容
制作対象ページの一覧(サイトマップ形式が望ましい)
既存コンテンツの流用可否
新規コンテンツの制作要否(文章・写真・動画等)
多言語対応の有無
サイトマップの例
4. 機能要件
必要な機能を「必須」「あれば良い」に分類して記載します。
機能要件の例
機能 | 優先度 | 備考 |
お問い合わせフォーム | 必須 | メール通知・自動返信 |
ニュース管理(CMS) | 必須 | 担当者がノーコードで更新 |
スマートフォン対応 | 必須 | レスポンシブデザイン |
多言語対応(英語) | 優先度高 | 将来対応でも可 |
検索機能 | 優先度中 | ニュース・事例の検索 |
チャットボット | 優先度低 | 次フェーズで検討 |
5. デザイン要件
ブランドのガイドラインや参考サイトを共有することで、デザインの方向性を伝える。
記載すべき内容
ブランドガイドライン・CI/VIの有無
使用するロゴ・カラー・フォントの制約
参考にしたいサイト(国内外問わず2〜3件)
避けたい表現・テイスト
動画・アニメーションの希望
6. 技術要件
使用するCMS・ホスティング環境について、制約や希望を記載します。
記載すべき内容
現行のCMS・サーバー環境(移行の有無)
CMSの希望(WordPressが必要か、ヘッドレスCMSでも良いかなど)
連携が必要な外部システム(MAツール・CRM・SFAなど)
セキュリティ要件(SSL・WAF・バックアップ頻度等)
7. スケジュール
プロジェクトの希望期間と主要マイルストーンを記載します。
記載例
提案書受領期限:○月○日
発注決定:○月○日
キックオフ:○月○日
デザイン確認:○月○日
公開目標:○月○日(公開時期が固定されている場合はその理由も記載)
8. 予算
予算の上限を明示することを推奨します。「予算を明かすと足元を見られる」という懸念もありますが、予算範囲が不明なままでは制作会社が要件の優先度を判断できず、的外れな提案が返ってくることが多いです。
記載例
> 制作費の予算上限は○○○万円(税別)を想定しています。公開後の年間保守費用は別途○○万円程度を検討しています。
9. 選定基準
制作会社に「どのような観点で選定するか」を伝えることで、提案の質が向上します。
選定基準の例
同種プロジェクトの実績(30%)
技術力・使用技術の妥当性(25%)
提案の質・課題理解度(25%)
費用対効果(20%)
10. 提案の提出形式と質問対応
制作会社が提案を作成しやすいよう、提出形式と質問対応の窓口を明記します。
記載例
> 提案書はPDFまたはPowerPoint形式でご提出ください。見積書は別途Excelにてご提出をお願いします。ご質問は○月○日までに担当(メールアドレス)あてにご連絡ください。○月○日に一括回答します。
RFP作成でよくある失敗
要件が曖昧すぎる
「きれいなサイトにしたい」「使いやすくしてほしい」という定性的な要件だけでは、会社によって解釈がまったく異なります。定量的な目標と具体的な機能要件をセットで記載します。
ページ数・機能が不明瞭
ページ数と機能が不明瞭な状態では正確な見積もりが出せません。確定していない部分は「未定・要相談」と明記した上で、わかる範囲で最大限の情報を提供します。
スケジュールが短すぎる
「来月公開したい」という無理なスケジュールを前提にしたRFPは、品質に問題が生じるリスクがあります。デザイン確認・修正・テストの工程に必要な時間を考慮した現実的なスケジュールを設定します。
まとめ
RFPは、Web制作プロジェクトを成功させるための「設計図」です。作成に時間を要しますが、発注後のトラブルを防ぐ最大の防衛手段でもあります。
本記事で紹介した10の構成要素を埋めることで、制作会社から的確な提案を引き出し、公平な比較選定が可能になります。次の記事では、制作会社から届いた見積書の正しい読み方と、費用の内訳を確認するポイントを解説します。
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