Web制作会社の実績の見方|ポートフォリオの正しい評価基準
Web制作会社の選び方・発注ガイドWeb制作会社の実績の見方としてポートフォリオの正しい評価基準を解説します。PageSpeed Insightsスコアの確認方法・技術スタックの読み方・自社との親和性の判断基準をまとめています。
はじめに
Web制作会社のWebサイトを訪問したとき、まず多くの担当者が見るのが「実績・ポートフォリオ」のページです。しかし、「見た目がきれいだから良い会社」という判断は必ずしも正しくません。
実績・ポートフォリオを正しく評価するためには、デザインの表面的な美しさだけでなく、技術品質・業種適合性・成果との連動・プロジェクトの主体性など、複数の軸で評価する目が必要です。本記事では、Web制作会社の実績を客観的に評価するための基準と実践的な確認方法を解説します。
ポートフォリオ評価の5つの軸
軸1:自社プロジェクトとの類似性
ポートフォリオを見る際、最初に確認すべきは「自社のプロジェクトと類似した実績があるか」です。
確認すべき類似性の要素
業種の近さ:同業種・類似業界(BtoB製造業・SaaS・医療等)での実績があるか
サイト種別の近さ:コーポレートサイト・採用サイト・ECサイト・オウンドメディアのどれか
規模の近さ:ページ数・機能の複雑さが自社プロジェクトと近いか
目的の近さ:問い合わせ増加・採用強化・ブランディングなど目的が一致するか
「デザインがきれいな会社」であっても、BtoCのECサイトしか経験がない会社にBtoBのSaaS企業のサービスサイトを発注すると、ターゲットへの理解・CVポイントの設計・コンテンツ設計が的外れになるリスクがあります。
軸2:実際のサイトの技術品質
ポートフォリオに掲載されているサイトが、現在も公開されている場合は、以下のツールで技術品質を計測できます。
PageSpeed Insights(Google)
https://pagespeed.web.dev/ でサイトURLを入力すると、モバイル・デスクトップのパフォーマンススコアとCore Web Vitalsの評価が表示されます。
LCP(Largest Contentful Paint):2.5秒以下が目標
INP(Interaction to Next Paint):200ms以下が目標
CLS(Cumulative Layout Shift):0.1以下が目標
パフォーマンススコアが60以下のサイトを多数制作している会社は、表示速度への意識が低い可能性が高いです。
セキュリティ確認
SSL(https)が適切に設定されているか、混在コンテンツ(mixed content)がないかを確認します。
軸3:成果・数値への言及
ポートフォリオに「制作後に問い合わせ数が○倍になった」「検索流入が○%増加した」という成果数値が記載されている会社は、ビジネス成果への意識が高いです。
逆に、ビジュアルの美しさや使用技術のみを語り、成果について一切言及のないポートフォリオは、「作ることが目的」になっている可能性があります。
成果の記載例(良い例)
> コーポレートサイトのリニューアルにより、月間オーガニック流入が1,200件から4,800件に増加。問い合わせフォームのCVRが1.2%から3.4%に改善し、月間問い合わせ数が3倍になりました。(リニューアルから6ヶ月後の実績)
ただし、成果はサイト制作だけでなく、クライアント側のマーケティング活動・市場環境にも依存するため、「制作したから成果が出た」という因果関係の主張が適切かどうかも見極める必要があります。
軸4:担当メンバーの関与度
ポートフォリオに掲載された実績が、現在の担当メンバーが手がけたものかを確認することが重要です。
確認方法
実績ページに「担当ディレクター:○○」「担当エンジニア:○○」という形でメンバー名が明記されているか
初回ミーティングで「この実績を担当したのは誰ですか?」と直接聞く
担当予定のメンバーが過去の実績を自分の言葉で説明できるか
大手会社では、過去の優れた実績が「会社の実績」として掲載されていても、今の担当チームとは別のメンバーが手がけた案件であることも多いです。
軸5:制作の主体性
外注・下請けを中心に制作している会社は、ポートフォリオの「主体」が自社ではない場合があります。
確認方法
「このプロジェクトのデザイン・開発はすべて自社で行いましたか?」と直接聞く
「外部パートナーを使う場合、どの工程を外注しますか?」という質問で構造を把握します
外注を使うこと自体は珍しくないが、主要工程(デザイン・実装)を外注している場合、コミュニケーションロスと品質管理の問題が生じやすい。
ポートフォリオを見る際の実践的なチェックリスト
デザインの評価
[ ] ターゲットユーザーに合ったデザインか
[ ] ブランドの個性が表現されているか
[ ] CTA(問い合わせボタン等)の設計は適切か
[ ] スマートフォン表示でも品質が保たれているか
技術品質の評価
[ ] PageSpeed Insightsのスコアは70以上か
[ ] Core Web Vitals(LCP・INP・CLS)は目標値を達成しているか
[ ] SSLが設定されているか
[ ] 使用CMSは何か(WordPress / ヘッドレスCMS / スクラッチ等)
ビジネス成果の評価
[ ] 成果・数値への言及があるか
[ ] プロジェクトの目的・課題が明記されているか
[ ] 自社のプロジェクト目的と類似しているか
主体性の評価
[ ] 担当メンバーが明記されているか
[ ] 設計・デザイン・実装を自社で行っているか
[ ] 実績が直近1〜2年のものか
「見た目の良いポートフォリオ」に騙されないために
制作会社のWebサイト自体が「最高の実績」でもあります。制作会社のWebサイトのパフォーマンス・デザイン品質・コンテンツの充実度を評価することも、重要な判断材料です。
逆説的に「クライアントのサイトはきれいですが、自社サイトが古くて遅い」という制作会社は、自社への投資を怠っている可能性があります。
また、SNS(Twitter/X・note等)での発信内容も参考になります。技術的な知見・デザインへの考え方・業界トレンドへの見解を発信している会社・個人は、専門性の高さと学習意欲の証明になります。
実績の確認を超えた「相性」の見極め
最終的に重要なのは、ポートフォリオの評価だけでなく「この会社と一緒に仕事をしたいか」という相性の判断です。
相性を見極めるための観点
コミュニケーションスタイル:丁寧すぎず、フランクすぎず、自社のカルチャーに合うか
価値観の共有:「良いWebサイトとは何か」という認識が一致しているか
主体性:言われたことをこなすだけでなく、自ら改善提案を行う姿勢があるか
正直さ:できないこと・リスクを正直に話せるか
これは提案・ヒアリングの過程で自然と判断できます。良いパートナーは、自社の強みを売り込むだけでなく、クライアントのビジネス課題に真剣に向き合う姿勢を持っています。
まとめ
Web制作会社のポートフォリオ・実績を正しく評価するための5つの軸は以下の通りです。
自社プロジェクトとの類似性(業種・種別・規模・目的)
実際のサイトの技術品質(PageSpeed Insights・Core Web Vitals)
成果・数値への言及
担当メンバーの関与度
制作の主体性(内製 or 外注)
「見た目がきれい」だけでポートフォリオを評価するのではなく、これらの多角的な軸で評価することで、自社のプロジェクトに最適な制作会社を選ぶ精度が高まる。
本記事は「⑤Web制作会社の選び方・発注ガイド」シリーズの最終回です。第1回から本記事までを通じて、Web制作会社の選定から契約・プロジェクト管理まで体系的に学ぶことができます。実際の発注プロセスにぜひ役立ててほしい。
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