表示速度改善事例|LCP大幅改善・CV率向上のケーススタディ
サイト表示速度とCore Web VitalsLCP大幅改善・CV率向上を達成した表示速度改善事例を解説します。WordPressからNext.js+Vercel移行によりPageSpeed Insightsスコア44→91・問い合わせ3.5倍を達成した施策をまとめています。
はじめに
本記事では、BtoB ITサービス企業G社のコーポレートサイトにおける表示速度改善プロジェクトのケーススタディを解説します。WordPressで構築されたサイトをNext.js+Vercel+Orizm(ヘッドレスCMS)に移行し、LCPを4.8秒→1.4秒に改善した事例です。
また、改修前にWordPressのままで最適化施策を実施したフェーズも含めており、「WordPressでの限界」と「モダンスタックへの移行効果」の両方が明確に示されています。
企業・プロジェクトの概要
企業概要
業種:ITコンサルティング・デジタルトランスフォーメーション支援
従業員数:85名
サイト構成:コーポレートサイト(65ページ)+ブログ(月3〜4本公開・累計180本)
プロジェクトの背景
Search ConsoleのCore Web Vitalsレポートで「不良」のURLが全体の78%を占めており、SEOの担当者から「Core Web Vitalsの改善が急務」という報告がありました。同時に、Ahrefsの分析で主要キーワードの順位が競合に比べて低迷していることが明らかになり、表示速度改善をSEO改善プロジェクトの中核施策として実施することになりました。
フェーズ1:WordPress最適化(3ヶ月)
開始時の状況
指標 | 計測値 |
PageSpeed Insightsスコア(M) | 38 |
LCP(Lab Data) | 5.2秒 |
CLS | 0.24 |
TBT | 1,840ミリ秒 |
Core Web Vitals「不良」URL率 | 78% |
月間オーガニック流入 | 6,200セッション |
実施した施策
Month 1:基礎的な最適化
WP Rocketの導入:ページキャッシュ・ブラウザキャッシュ・CSS/JSのミニファイ・結合を設定
Imagifyの導入:既存2,800枚の画像をWebPに変換・50〜80%圧縮
不要プラグインの削除:活用していた32プラグインのうち11本を削除
Cloudflareの導入:無料プランでCDNとしての活用
Month 1後の計測結果
指標 | 計測値 | 変化 |
PageSpeed Insightsスコア(M) | 52 | +14点 |
LCP(Lab Data) | 3.8秒 | 1.4秒改善 |
CLS | 0.18 | 0.06改善 |
画像最適化とキャッシュが最も効果が大きく、1ヶ月でスコアが14点改善しました。
Month 2:レンダリングブロックの解消
Google Fonts をローカルホスティングに切り替え:@font-faceでwoff2ファイルをセルフホスティング。FontsのCLSが0.12→0.02に改善
不要なCSSの削除:未使用のCSSを分析し、テーマの不要なCSSを削除(ファイルサイズ20%削減)
サードパーティスクリプトの遅延読み込み:Google Analytics・HubSpotのトラッキングスクリプトを非同期読み込みに変更
Month 2後の計測結果
指標 | 計測値 | 変化 |
PageSpeed Insightsスコア(M) | 59 | +7点(Month1比) |
LCP(Lab Data) | 3.4秒 | さらに0.4秒改善 |
CLS | 0.09 | 良好(0.1以下)達成 |
Month 3:サーバー環境の改善
共有レンタルサーバーからKinsta(マネージドWordPressホスティング)へ移行:TTFB 2.1秒→0.8秒に改善
Month 3後(WordPress最適化フェーズ完了)の計測結果
指標 | 開始時 | WordPress最適化後 | 変化 |
PageSpeed Insightsスコア(M) | 38 | 68 | +30点 |
LCP(Lab Data) | 5.2秒 | 2.8秒 | 2.4秒改善 |
CLS | 0.24 | 0.08 | 良好達成 |
TBT | 1,840ms | 820ms | 55%削減 |
スコアが38から68まで改善したが、LCPはまだ2.5秒の目標値をわずかに超えており、「良好」の50%ラインには届かなかった。
フェーズ2:Next.js+Vercel+Orizm移行(4ヶ月)
移行を決断した理由
WordPressでの最適化で一定の改善は実現できたが、以下の理由から根本的な技術スタックの移行を決断しました。
LCPが2.8秒止まりで、「良好(2.5秒以下)」に安定して入れない
ブログ記事が180本あり、記事追加のたびにビルドが遅くなるWordPressのスケーラビリティに懸念
AIアシスタントの統合を将来計画しており、ヘッドレスCMSへの移行を先行させることでその準備とします
WordPressのセキュリティアップデート・プラグイン管理の工数削減
採用した技術スタック
役割 | 技術 |
フロントエンド | Next.js 15(App Router) |
ホスティング | Vercel |
CMS | Orizm |
スタイリング | TailwindCSS |
検索 | Algolia |
移行プロジェクトの概要
コンテンツ移行:WordPressの180本のブログ記事をOrizmのリスト型コンテンツに移行。コンテンツ担当者向けの管理画面説明会を1回実施。
技術実装のポイント
ブログ記事はISR(60秒更新)で実装し、記事更新後1分以内にサイトに反映される仕組みを構築
ファーストビューのヒーロー画像にnext/image + priorityを設定
next/fontでNoto Sans JPをセルフホスティング
Vercel Speed Insightsを導入してField Dataをリアルタイム監視
フェーズ2完了後の成果
技術パフォーマンス
指標 | WordPress最適化後 | Next.js移行後 | 変化 |
PageSpeed Insightsスコア(M) | 68 | 91 | +23点 |
LCP(Lab Data) | 2.8秒 | 1.4秒 | 1.4秒改善 |
CLS | 0.08 | 0.02 | 更に改善 |
TBT | 820ms | 145ms | 82%削減 |
TTFB | 0.8秒 | 0.12秒 | 85%削減 |
Core Web Vitals Field Data(移行4ヶ月後)
指標 | 移行前(WordPress最適化後) | 移行4ヶ月後 | 変化 |
LCP「良好」URL率 | 38% | 94% | +56pt |
INP「良好」URL率 | 62% | 97% | +35pt |
CLS「良好」URL率 | 58% | 99% | +41pt |
「不良」URL率 | 42% → 14% | 0% | 解消 |
SEO・ビジネス指標(移行6ヶ月後)
指標 | プロジェクト開始前 | 6ヶ月後 | 変化 |
月間オーガニック流入 | 6,200 | 11,800 | 1.9倍 |
主要キーワード平均順位 | 14.2位 | 6.8位 | 7.4位上昇 |
直帰率 | 74% | 52% | 22pt改善 |
問い合わせCV率 | 0.38% | 0.72% | 0.34pt改善(ほぼ2倍) |
月間問い合わせ数 | 24件 | 85件 | 3.5倍 |
成果の要因分析
要因1:LCPの劇的改善がSEO順位を引き上げた
LCP 5.2秒→1.4秒という改善により、主要キーワードの平均順位が14.2位→6.8位に改善しました。特に「要改善」だったURLが「良好」になったことで、競合との相対評価で優位に立てた。
要因2:直帰率の改善がSEOを間接的に強化した
直帰率が74%→52%に改善したことで、ユーザーが検索結果に戻る「ポゴスティッキング」が減少し、Googleへの間接的な品質シグナルが改善したと考えられます。
要因3:CV率の改善が問い合わせ数を最大化した
オーガニック流入が1.9倍になった上で、CV率が0.38%→0.72%に改善しました。流入増加とCV率改善の両方が重なった結果、問い合わせ数が3.5倍になりました。
表示速度の改善が「ページ読み込み後のユーザー行動」にも好影響を与えていることが確認できた。
プロジェクトの費用と投資対効果
投資コスト
項目 | 費用 |
WordPress最適化(Phase 1) | プラグイン費用約5万円+担当者工数(月15時間×3ヶ月) |
Kinstaへの移行 | 月2万円のホスティング費(年間24万円) |
Next.js移行(Phase 2) | 開発費350万円 |
Orizm利用料 | 月額費用(実際の金額は要問い合わせ) |
合計(初年度) | 約400万円 |
投資対効果
月間問い合わせが24件→85件に増加(61件増)、商談化率35%とすると月21件の商談増加。平均成約単価を勘案すると、初年度中に投資回収できる試算となりました。
まとめ
本ケーススタディから学べる主要な教訓を整理します。
教訓1:WordPressの最適化は段階的に効果が現れる
画像最適化・キャッシュ・CDNという基本施策でスコアを38→68まで改善できた。WordPressのままでの改善にも相応の価値はあります。
教訓2:WordPressの構造的な限界は存在する
最適化を尽くしてもLCP 2.8秒止まりで「良好(2.5秒以下)」に安定して入れなかった。これはアーキテクチャの問題です。
教訓3:Next.js+Vercelへの移行が根本解決
移行後にLCP 1.4秒・PageSpeed Insightsスコア91という水準を達成し、6ヶ月で問い合わせ数3.5倍というビジネス成果につながった。
教訓4:表示速度改善はCV率にも影響する
表示速度の改善がコンバージョン率の改善にもつながることが、このプロジェクトで実証されました。
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