Vercelのドメイン検索がログイン不要に|CLIとDomains Registrar APIの使い方と注意点

2026年9月28日、Vercelはドメイン名の検索・空き状況確認・価格照会を、サインインもアクセストークンもなしに実行できるようにしました。対象は Vercel CLI と Domains Registrar API の2つです。ただし購入や管理には従来どおり認証が必要で、未認証で使えるのは「調べる」部分だけです。ドメイン候補の洗い出しをスクリプトやAIエージェントに任せたい場合、トークン管理なしで最初の一歩を踏み出せるようになった、という変更です。
未認証でできること・できないこと
公式チェンジログは、サインインやアクセストークンなしでドメイン名の発見・空き状況・価格の確認ができると明記しています。一方で「購入や管理には引き続き認証が必要」とも書かれています。整理すると次のとおりです。
- 未認証で可能: キーワードからの候補提案、指定した名前の登録可否の確認、登録料と更新料の取得
- 認証が必要: ドメインの購入、移管、更新、自動更新の切り替え、プロジェクトへの割り当て
CLI側のリリースノートでも、domains check・domains price・domains search にあたる3つのサブコマンドがログインなしで許可された旨が記載されています。つまり「調査系のサブコマンドのみ解放」という粒度です。
CLIでの検索
キーワードや部分文字列から候補を探すのが vercel domains search です。チェンジログの例は次の形です。
vercel domains search acmesite --limit 5
ドキュメントによると、search には候補の絞り込み用オプションが用意されています。--limit は1ページあたりの候補数(既定20、最大200)、--tld com --tld dev のように繰り返し指定してTLDを限定、--available で登録可能なものだけを表示、--order で relevance / alphabetical / length の並び替え、--next で次ページのカーソル指定ができます。
自動化で重要なのは --format=json です。JSONで受け取れるため、候補一覧をそのまま社内ツールやスプレッドシートに流し込めます。CIやスクリプトから叩くなら、グローバルオプションの --non-interactive を併用してプロンプト待ちを防ぐのが安全です。なお、正確な名前が決まっている場合は候補提案の search ではなく、vercel domains check や vercel domains price のほうが意図に合います。
Domains Registrar APIでの一括照会
APIは POST https://api.vercel.com/v1/registrar/domains/search です。リクエストボディに domains 配列を渡し、1回で1〜200件の「完全一致の」ドメイン名を照会できます。APIリファレンスには認証不要と明記されており、レスポンスは入力順で返り、登録可能なものについては登録料・更新料(USD)、契約年数、プレミアム判定が含まれます。
ここで押さえておきたい違いが2点あります。1つ目は、APIはキーワードから候補を生成するのではなく、渡した名前をそのまま判定する点です。候補生成はCLIのsearch側の役割なので、「keyword → 候補展開 → 一括判定」というフローを組むなら、候補の組み合わせは自分で作る必要があります。2つ目は、リファレンスのサンプルコードにはBearerトークン付きの例も併記されている点です。トークンは必須ではなくなったという理解でよいものの、チーム配下の挙動を使いたい場合は teamId クエリパラメータが用意されています。
実装時に想定しておくべき制約
APIリファレンスのレスポンス定義には 429 TooManyRequests が含まれ、retryAfter と残り回数を示す limit が返る構造になっています。認証がないぶん、レート制限は当然に効くと考えるべきです。200件のバッチを連続で投げる設計にするなら、429を受けたら retryAfter に従って待つリトライ処理を最初から入れておくのが無難です。
あわせて、次の点を設計に織り込んでおくと事故が減ります。
- 空き状況は「その時点の照会結果」であり予約ではありません。候補を提示してから購入までに時間が空くフローでは、購入直前に再確認する前提で組みます
- 価格はUSD表記です。国内クライアントに提示するなら為替と税の扱いを別途決めておく必要があります
- プレミアムドメインは価格が大きく跳ねます。レスポンスのプレミアム判定を無視して一覧表示すると、想定外の金額を提案してしまいます
- 登録可能かどうかは商標や使用権の可否とは無関係です。社名・ブランド名の候補選定では別途の確認が欠かせません
- ブラウザから直接呼ぶ構成を検討する場合は、CORSの挙動を事前に確認し、レート制限とキャッシュを自分で制御できる自社サーバー経由にしておくほうが運用しやすくなります
この変更が効く場面
もっとも相性がいいのは、ネーミング検討の初期段階です。サービス名の候補が20〜30個ある段階で、TLDを変えた組み合わせを一括で投げれば、空きと概算費用の一覧が数分で手に入ります。Vercelは2025年9月のDomains刷新時に、レジストラ原価での提供とログイン不要の検索を打ち出しており、今回のCLI/API解放はその延長線上にあります。
もう1つは、AIエージェントやスキャフォールディングツールに組み込むケースです。ユーザーがまだアカウントを持っていない段階でも候補提示まで進められるため、「名前を決める→デプロイする」導線を途切れさせずに設計できます。逆に、購入から先は認証が必要なので、エージェント側の実装はどこで認証を要求するかを明確に分ける必要があります。
一方で、単発でドメインを1つ探すだけなら公開のドメイン検索UIで十分です。CLIやAPIを使う価値が出るのは、件数が多い、繰り返し実行する、結果を別システムに渡す、のいずれかに当てはまるときだと考えてよいでしょう。
次に取る行動
まずは vercel domains search に自社の候補キーワードを渡し、--format=json の出力構造を確認してください。そのうえで、候補が多い場合はAPIの200件バッチに切り替え、429のリトライとプレミアム判定の扱いを決めれば、ネーミング検討の下調べはほぼ自動化できます。
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