日本初のVercelエキスパートパートナー「chot Inc.」が明かす、Orizmを活用した自社サイトリニューアルの裏側(前編)

次世代Webサイト構築プラットフォーム「Orizm」を提供するちょっと株式会社は、2026年7月6日に自社のコーポレートサイトを全面リニューアルしました。本インタビューでは、コンテンツ拡充やAIアシスタントを新たに搭載したサイトリニューアルの全体像を、ちょっと社CEOの小島芳樹、フロントエンドエンジニアの石川雅述、デザイナーの山本悠が語ります。
小島芳樹
chot Inc. CEO
プロトタイプ制作や企画立案、コンテンツ制作などを担当
石川雅述
chot Inc. フロントエンドエンジニア
フロントエンドおよびCMSの開発、RAG構築やAIアシスタントの実装など、開発全般を担当
山本悠
chot Inc. デザイナー
全体のデザイン、イラスト制作を担当
コーポレートサイトを全面リニューアルした背景
小島:前回、ちょっと社のコーポレートサイトをリニューアルしたのは2022年の末でした。資金調達にともなってプレスリリースも出すことになったので、メンバーの集合写真を撮影してトップページのメインビジュアルにしていたのですが、数年経つ中でメンバーの入れ替わりもあり、そろそろかな…という頃合いでした。
当時は採用を目的としたサイトになっていたのですが、だんだんと新規営業を目的としたサイトへ作り替えてきました。
元々はフロントエンド開発支援事業がメインだったところから、新規事業としてCMSのサービスも始めたり、会社の規模拡大や方向性も変わってきたことから、コーポレートサイトもリニューアルをする必要性が出てきたという状況でした。
お仕事のご依頼はリファラル経由が多かったのですが、インバウンドの問い合わせや依頼を増やしていこうという方針が、昨年後半くらいから固まってきました。そこでいろいろ検討した結果、コーポレートサイトを全面リニューアルしようということになりました。
実はもう一つ目的があって、独自CMSをフルカスタマイズで構築できる次世代のWebサイト開発プラットフォーム「Orizm(オリズン)」を作っているのにも関わらず、切り替えられるタイミングがなくて、自社のコーポレートサイトでは使っていなかったんですね。そこで今回はOrizmを導入して、その最新機能を盛り込めるサイトを制作することにしたのです。
これまで自分たちでOrizmを試せる場がなかったこともあったので、思い切って投資をしようという判断をしました。

昨年末からプロジェクト開始
小島:今回サイトリニューアルの検討が始まったのは、昨年の年末くらいからですね。1年間の事業計画を立てる中で、きちんと予算を取ってやることを決めました。プロジェクト自体が動き出したのは1月くらいですが、その時は私が「こんなサイトを作りたい」というイメージを、「v0(ブイゼロ)」というプロトタイプを作れるツールで作成して、メンバーたちに見てもらいながら、ブラッシュアップをしていきました。
それを実際に本番で運用できるかといった技術検証や、今回「AIアシスタント」という新しい機能の搭載を予定していたので、それが本当にできるのか、どんな技術を使ったらいいのかといった検証を行いました。
AIアシスタントのコンセプトについては今年の4月に発表していたのですが、裏側では、実際にどういう技術を組み合わせて作るのかといったことを、フロントエンドエンジニアの石川が検証しました。
石川が技術検証後に、実際に動くプロトタイプを制作し、その画面構成に基づいてデザイナーの山本がデザインを制作していくという、ビジネスロジックの実装→デザイン→デザインの実装という流れで進められました。
今回はSEOコンサルの方にも参画していただき、実際にどういうデザインやページ構成がSEO的に効果的なのかというところをお手伝いいただきました。この方にはSEOだけでなく、LLMO(AI検索の対策)についても調査・助言をいただきました。
SEO対策や技術検証でどんなことをしたのか
小島:まず、リニューアル前のサイトがどんなワードで検索され、どういう人が訪れていたかなどをいろいろ調べてみたんですね。すると、どうやら検索されているキーワードが、我々がターゲットとする方々よりも、開発会社やエンジニアの方が見に来ていることがわかったんです。
私たちとしては事業の決裁者となる方、例えば新規事業の立ち上げのために必要な人材を探している方や、既存事業でエンジニアが足りなくて困っているプロジェクトマネージャーのような方を想定していました。しかし、そういった方々が訪れそうなキーワードがほとんど取れていない状況でした。
「サイトリニューアル」「Next.js 外注」といったキーワードでターゲットが集客できていたら、相手のニーズが明らかに読み取れたんですが、プログラミング用語でのキーワード獲得が多く、エンジニアが調べ物をしてたどり着くことが多かったという状況でした。
それではちょっと社がターゲットとしているユーザー像に当てはまらないので、SEOコンサルの方に、どういうキーワードで検索すれば集客・成果に結びつけられるかを調査・分析してもらいました。その内容に基づいて、どういったページが必要かを検討していきました。
顧客が問い合わせしやすいようにサービスページを設計
小島:今回のコーポレートサイトリニューアルでは、トップページにAIアシスタントを置いたのが、最大の特徴です。それ以外の下層ページは、BtoBマーケティングのセオリーに沿った形になっています。例えばサービス紹介ページはクライアント様の課題別に、事業を分解してページを複数作っています。
石川:現在、サービス紹介は6ページ公開されていますが、まだ文字チェック中で公開していないページもあるので、残りを全て公開すると10ページくらいになる予定です。サイト制作のメニューには、採用ブランディング支援など、採用目的でサイトをリニューアルやサイト構築したいという顧客が一定層いるので、そうした企業に向けて、どんなサポートができるのか紹介するページも作っています。
ページの中身の構成も、マーケティングの指南書などによく書かれているPASONA(パソナ)の法則という顧客の購買行動を促進させるフレームワークに則って作られています。
例えばサービス紹介ページは、PASONAの法則に沿って、最初に「こんなことでお悩みではないですか」という問いかけから、「その解決策はこうです」というアドバイス、どうして弊社のサービスがいいのかという説明、最終的には「ぜひ、お問い合わせください」といった流れで、顧客が問い合わせをしやすいように心がけて作られています。
課題別にページに分けているのもSEO対策に関わるところで、課題別に獲得したいキーワードを分けてそれぞれ対策しています。

事例紹介ページは、配置やサマリーをリライト
石川:事例紹介はリニューアル前のサイトにもあったものを掲載しているのですが、この事例サマリーは、要約した内容を最初に表示される位置にリライトして入れています。また、タグが以前はあまり付けられていなかったので、タグ付けも強化しました。

さらに、事業紹介のページと紐付け、「このサービスはこの事例です」といったわかりやすい流れをつなぎ込むことで、事例を見て問い合わせをしてもらいやすくしています。

サイトリニューアルで追加したコンテンツは?
小島:ナレッジという学習コンテンツも用意しています。これはちょっと社を知らない方や、ちょっと社が使っている技術の周辺領域に興味を持っている方が、知ってくれるきっかけを作るために提供しているものになります。

ちょっと社が提供するサービスに関連することを幅広くカバーできるように「制作会社の選び方」「サイトリニューアルの基本」「フロントエンド開発トレンド」「LLMO対策入門」など100ページ以上の記事を用意しています。
これまではエンジニアの来訪がほとんどの状況だったのですが、本来のターゲットは、サイト制作や新規事業の開発を依頼する先を考えている企業の担当者です。その中には初めて私たちのような会社に外注をお願いする方々も多くいらっしゃいますので、そういった方々に寄り添えるようなコンテンツを制作しました。サイト制作の依頼をしたい人だったら、こういうことについて調べているだろうなというところから逆算して、知っていただくとプラスになるようなことをコンテンツ化して提供しています。
あとは「エンジニアの空き状況」を公開しています。どういうメンバーがいるのか伝えることで、求める知識や技術スキルを持つエンジニアに、すぐに頼める情報を提供するためです。

トップページのAIアシスタントに関しては、サイト内に書かれている情報をもとに、顧客が求めることに答えてくれる機能を設置しています。これがこれまでのUXとはかなり大きく変わるコンテンツだと考えています。
サイトリニューアルにおけるAI活用について
山本:今回のサイトリニューアルにおいては、デザインやシステム開発の作業工程にAIを積極的に活用しています。
トップページのロボットやアイコンなどのイラストは、AIに設計の考え方をチャット形式で伝えて作っていますね。仕上がりのテクスチャーは画像で指定し、表現する内容はテキストで指示しています。

一方で、事例紹介ページの写真などは、AIを使っていません。プロジェクトをご一緒した企業の方と弊社のメンバーが訪問させていただいて、写真を撮らせていただいています。
実在のケースであることに価値がある情報なので、企業として真実を大切にする姿勢を示しています。
AIを活用するメリットとは?
山本:このプロジェクトでは開発期間の短縮が重要でした。限りある時間に対して最大のアウトプットが出るようにAIを使っています。
また、よく言われるのが心理的な負担です。「ここを直した方がいい」という指摘もしやすいし、直すコストが少なければ、やり直すことができます。
バグのチェックやコードの確認、表現のチェックなどに関しては、AIで効率化されている部分はあると思いますが、基本的に人間が見た時におかしくないかを検出するために、人間の感覚でチェックします。当たり前の話ですが、AIに指示するという工程の段階では、全てを言語化できていません。出来上がったものを見ることではじめて気がつく違和感や大切なことをプロジェクトにフィードバックします。
2026年7月6日リニューアルから反響や効果はどうか?
小島:リリース後最初の週に関しては、リリース前の4倍以上のPVがありました。もちろんリリースやSNSなどで告知した効果もあるのですが、日々チェックしているとオーガニックサーチからの流入が増えている状況です。
先週はSNSの拡散などの流入が非常に多かったのですが、今週からは逆転して、検索流入が多くなってきています。これは検索流入数やPVが結構増えたこともあり、いろいろなキーワードを拾い始めたのと、その反響を口コミなどで見て検索してくださっている方々がいることが読み取れます。
まだリリースして2週間ばかりなので、検索エンジンへの反映がされていないページがほとんどです。そこがインデックスされていくと、さらに伸びると考えています。
──後編に続く
