chot Inc.

chot Inc.

CASE

デジタルとリアルを融合した新メディアプラットフォームの開発。microCMSとNext.jsで実現した「AXIS Media Membership」の事例

デジタルとリアルを融合した新メディアプラットフォームの開発。microCMSとNext.jsで実現した「AXIS Media Membership」の事例

AXIS Inc. - 株式会社アクシス

AXIS Inc. - 株式会社アクシス

メディアグループマネージャー大内様

デザイン誌「AXIS」やWebマガジンを通じてデザインの本質を追求し続けてきた株式会社アクシス様。ちょっと社は、AXISの新たな会員制デジタルサービス「AXIS Media Membership」の開発をお手伝いしました。


プロジェクトの背景や、当社にご依頼いただいた理由について、メディアグループマネージャー大内様に、当社プロジェクトマネージャーの江辺とエンジニアの志水を交えてお話をうかがいしました。

デザインメディアの統合と進化へ

「AXIS Media Membership」制作の経緯について教えてください

大内

当社は1981年創刊の雑誌『AXIS』から始まり、当社ビル4階に構えるギャラリーやWebマガジンを通して、デザインに関する情報を発信してきました。これら3つのメディアを一体化して統合的な情報発信を行うために、横断的なサービスとして「AXIS Media Membership」を構想しました。Webマガジンだけでなく、AXISのメディア全体としてリニューアルするという位置づけのプロジェクトです。

雑誌『AXIS』

「Webの情報は無料で読める」という感覚が一般的な状況で、どのようにマネタイズしながらメディアを運営していくべきか、社内でも議論を重ねていました。その答えのひとつが「場をつくる」というものです。各分野のプロフェッショナルをゲストに迎えたトークイベントやワークショップを「CONNECT」という形で提供し、雑誌やWebメディアの記事とリアルの場をつないだ企画なども実施しています。

弊社にご依頼いただいた理由は何だったのでしょうか?

大内

アクシスには開発部門がないため、外部パートナーへの依頼が前提でした。既存のWebマガジンではWordPressを使用しているのですが、新しいプラットフォームではmicroCMSを採用することにしました。


microCMS社に開発実績のある会社を尋ねたところ、いくつか挙げられた候補の中に御社の名前がありました。お会いして打ち合わせをする中で、デザインメディアとしての我々の特性を理解し、表層だけではなく仕組みとしてのデザインまで議論ができそうだと感じて、依頼することを決めました。

大内様

microCMSを選択したのはなぜだったのでしょうか?

大内

WordPressに対してセキュリティ面での懸念があり、この機会にCMSを見直すことにしたんです。ユーザーが快適に閲覧できる表示性能を出せること、将来的なアプリケーション開発などを視野に入れた拡張性、国産のため日本語の解説も多く運用しやすそうなどの理由からmicroCMSを選びました。

段階的な開発アプローチで実現したプロジェクト

具体的にはどのようにプロジェクトを進めていったのでしょうか?

江辺(ちょっと社プロジェクトマネージャー)

2023年2〜5月頃までが要件定義フェーズで、サービス全体の方向性や新しいビジネスモデルのあり方そのものについて、いろいろと刺激的な議論をさせていただきました。


まずはPoCをつくるために、本格的な開発は6月頃からスタートしました。関係者の方に向けて招待コードを発行し、雑誌記事をWebで閲覧できるクローズド版をリリースしたのが2024年1月です。


その後、Stripeを使ったサブスクリプションプランや、Mixpanelを用いたユーザー行動分析の仕組みを実装し、雑誌のリニューアルに合わせて2024年7月に一般公開しました。その後も、法人プランやジョブ機能を追加リリースしています。

左から、ちょっと社プロジェクトマネージャー江辺、エンジニア志水

志水

PoCでの開発だったこともあり、機能追加に対応できるような設計を心がけました。決済機能の追加や、仮に数年後、ネイティブアプリの開発などに発展していった場合にも耐えうる拡張性を担保しています。


江辺

今回のプロジェクトはアクシスさんの事業として新しい試みとなるため、素早く試し、改善していく必要があるため、スモールスタートで進めていくことを重視していました。コスト管理やリスクマネジメントなどの判断が難しいところもありましたが、大内さんと相談させていただきながら柔軟に進められたのはありがたかったです。

今回の制作で特にこだわったところを教えてください

大内

Webに記事を掲載する場合、白い背景の上にテキストや写真が載っているようなレイアウトになるのが普通だと思います。ただ、雑誌はもっとエディトリアルにつくられているものです。紙の色自体が特徴的だったり写真を大胆に使っていたりして、内容よりも雰囲気が記憶に引っかかることもあります。オンラインメディアではそういった要素によるフックが弱くなりがちですが、少しでも『AXIS』の世界観が伝わるように、記事ごとに背景色や文字色を設定できる仕組みを開発していただき、雑誌の良さをデジタルでも表現しました。

雑誌『AXIS』

AXIS Media Membership

また、データ分析ができる環境整備は意識していた点です。ユーザー行動の分析とサービス改善のサイクルを確立することは、事業として成長させていくうえで重要なポイントだと考えています。


江辺

データ分析は当初からの要件でしたね。ユーザーにとって良いサービスになるように、さまざまなツールを検討しながら進めてきました。


志水

フレームワークにはNext.jsを、ホスティングサービスにはVercelを使用しているので、既存のサイトよりも表示パフォーマンスを向上させることは意識しています。せっかくモダンな技術を採用したのですから、以前より快適にならなければ価値が出せないと思ってこだわりました。


また、弊社はVercelとパートナーシップを締結していることもあり、実装手法についてVercel社と連携しながら、今回のプロジェクトに最適な座組を考えることができたかと思います。


志水(ちょっと社エンジニア)

メディアとしての新しい可能性へ

リリース後の反応について教えてください

大内

雑誌の内容をPCやスマートフォンでも見られるようになって、とても便利になったという声はよく聞きます。


また、リアルでのイベントと記事を連動させているので、記事を読んだあとイベントに参加して理解が深まったという意見もありますし、逆にイベント参加をきっかけに記事を読んでいただくケースもあります。オンラインとオフラインを行き来した相乗効果が生まれつつあると感じますね。

左から、ちょっと社プロジェクトマネージャー江辺、エンジニア志水、アクシスの大内様

ちょっと社に依頼して良かったと感じたことはありますか?

大内

みなさんとても人柄がいいんですよね。それが何よりありがたかったです。こちらが十分に要件を固められないまま相談したときにも、「ちょっと考えてみます」と持ち帰っていただき、「こういう方法であれば実現できそうです」と建設的な提案をしていただけます。エンジニアの方のなかには「それは仕様なので無理です」というふうに画一的な回答をされる方もいると思うのですが、御社にはプロジェクトの成功を見据えて柔軟に対応していただけて、非常に心強いと感じました。


江辺

ありがとうございます。自分の知識の範囲だけで簡単に判断しないことや、いただいた要望を実現するにはどうすればいいのか考えるといったプロジェクトマネージャー的な思考のできるエンジニアが弊社は多いかもしれないですね。

左から、ちょっと社エンジニア志水、プロジェクトマネージャー江辺、アクシスの大内様

今後ちょっと社にどんなことを期待されていますか?

大内

プロジェクトの当初からいろいろと議論を交わしてきて、もはや運命共同体のようにも感じています。これまでは内製にこだわってきた部分もありましたが、外部パートナーとの協業による相乗効果を実感しました。我々にはない技術的な知見を活かしたアドバイスは、サービスを向上させていくには不可欠です。今後もエンジニアの視点からの提案や助言を期待しています。


---

AXIS Media Membership

back to Case